【自民党 憲法改正草案】 2012年版 (目次1)

[1条] 天皇
[2条] 皇位の継承
[3条] 国旗及び国歌
[4条] 元号
[5条] 天皇の権能
[6条] 天皇の国事行為等
[7条] 摂政
[8条] 皇室への財産の譲渡等の制限
第2章 安全保障
[9条] 平和主義
[9条の2] 国防軍
[9条の3] 領土等の保全等
第3章 国民の権利及び義務
[10条] 日本国民
[11条] 基本的人権の享有
[12条] 国民の責務
[13条] 人としての尊重等
[14条] 法の下の平等
[15条] 公務員の選定及び罷免に関する権利等
[16条] 請願をする権利
[17条] 国等に対する賠償請求権
[18条] 身体の拘束及び苦役からの自由
[19条] 思想及び良心の自由
[19条の2] 個人情報の不当取得の禁止等
[20条] 信教の自由
[21条] 表現の自由
[21条の2] 国政上の行為に関する説明の責務
[22条] 居住、移転及び職業選択等の自由等
[23条] 学問の自由
[24条] 家族、婚姻等に関する基本原則
[25条] 生存権等
[25条の2] 環境保全の責務
[25条の3] 在外国民の保護
[25条の4] 犯罪被害者等への配慮
[26条] 教育に関する権利及び義務等
[27条] 勤労の権利及び義務等
[28条] 勤労者の団結権等
[29条] 財産権
[30条] 納税の義務
[31条] 適正手続の保障
[32条] 裁判を受ける権利
[33条] 逮捕に関する手続の保障
[34条] 抑留及び拘禁に関する手続の保障
[35条] 住居等の不可侵
[36条] 拷問及び残虐な刑罰の禁止
[37条] 刑事被告人の権利
[38条] 刑事事件における自白等
[39条] 遡及処罰等の禁止
[40条] 遡及処罰等の禁止
[41条] 国会と立法権
[42条] 両議院
[43条] 両議院の組織
[44条] 議員及び選挙人の資格
[45条] 衆議院議員の任期
[46条] 参議院議員の任期
[47条] 選挙に関する事項
[48条] 両議院議員兼職の禁止
[49条] 議員の歳費
[50条] 議員の不逮捕特権
[51条] 議員の免責特権
[52条] 通常国会
[53条] 臨時国会
[54条] 衆議院の解散と衆議院議員の総選挙、
特別国会及び参議院の緊急集会
[55条] 議員の資格審査
[56条] 表決及び定足数
[57条] 会議及び会議録の公開等
[58条] 役員の選任並びに議院規則及び懲罰
[59条] 法律案の議決及び衆議院の優越
[60条] 予算案の議決等に関する衆議院の優越
[61条] 条約の承認に関する衆議院の優越
[62条] 議院の国政調査権
[63条] 内閣総理大臣等の議院出席の権利及び義務
[64条] 弾劾裁判所
[64条の2] 政党
第5章 内閣
[65条] 内閣と行政権
[66条] 内閣の構成及び国会に対する責任
[67条] 内閣総理大臣の指名及び衆議院の優越
[68条] 国務大臣の任免
[69条] 内閣の不信任と総辞職
[70条] 内閣総理大臣が欠けたとき等の内閣の総辞職等
[71条] 総辞職後の内閣
[72条] 内閣総理大臣の職務
[73条] 内閣の職務
[74条] 法律及び政令への署名
[75条] 国務大臣の不訴追特権
第6章 司法
[76条] 裁判所と司法権
[77条] 最高裁判所の規則制定権
[78条] 裁判官の身分保障
[79条] 最高裁判所の裁判官
[80条] 下級裁判所の裁判官
[81条] 法令審査権と最高裁判所
[82条] 裁判の公開
[83条] 財政の基本原則
[84条] 租税法律主義
[85条] 国費の支出及び国の債務負担
[86条] 予算
[87条] 予備費
[88条] 皇室財産及び皇室の費用
[89条] 公の財産の支出及び利用の制限
[90条] 決算の承認等
[91条] 財政状況の報告
第8章 地方自治
[92条] 地方自治の本旨
[93条] 地方自治体の種類、国及び地方自治体の協力等
[94条] 地方自治体の議会及び公務員の直接選挙
[95条] 地方自治体の権能
[96条] 地方自治体の財政及び国の財政措置
[97条] 地方自治特別法
[98条] 緊急事態の宣言
[99条] 緊急事態の宣言の効果
第10章 改正
[100条] 改正
第11章 最高法規
[101条] 憲法の最高法規性等
[102条] 憲法尊重擁護義務
【自民党 憲法改正草案】 主な改正点と、公式Q&A (目次2)

[Q4] 「日本国憲法改正草案」では、天皇を「元首」と明記していますが、これについてどのような議論があったのですか?
[Q5] 国旗・国歌及び元号について規定を置いていますが、これについてどのような議論があったのですか?
[Q6] その他、天皇に関連して、どのような規定を置いたのですか?
第2章 安全保障
[Q7] 「日本国憲法改正草案」では、9条1項の戦争の放棄について、どのように考えているのですか?
[Q8] 戦力の不保持や交戦権の否認を定めた現9条2項を削って、新9条2項で自衛権を明記していますが、
どのような議論があったのですか?また、集団的自衛権については、どう考えていますか?
[Q9] 「自衛隊」を「国防軍」に変えたのは、なぜですか?
[Q10] 国防軍は、国際平和活動に参加できるのですか?
[Q11] 国防軍に審判所を置くのは、なぜですか?
[Q12] 「領土等の保全等」について規定を置いたのは、なぜですか?国民はどう協力すればいいのですか?
第3章 国民の権利及び義務
[Q13] 「日本国憲法改正草案」では、国民の権利義務について、どのような方針で規定したのですか?
[Q14] 「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に変えたのは、なぜですか?
[Q15] 「新しい人権」について、どのような規定を置いたのですか?
[Q17] 教育環境の整備について規定を置いたのは、なぜですか?
[Q18] 公務員の労働基本権の制約について規定を置いたのは、なぜですか?
[Q19] その他、国民の権利義務に関して、どのような規定を置いたのですか?
第4章 国会
[Q20] 一院制を採用すべきとの議論は、なかったのですか?
[Q21] 衆議院で法律案を再議決するのに必要な「3分の2」を緩和すべきとの議論は、なかったのですか?
[Q22] 国会議員の選挙制度に関する規定を変えたのは、なぜですか?
[Q23] その他、国会に関して、どのような規定を置いたのですか?
第5章 内閣
[Q24] 内閣総理大臣の権限を強化したということですが、具体的には、どのような規定を置いたのですか?
[Q25] 内閣総理大臣の職務の臨時代行の規定を置いたのは、なぜですか?
第6章 司法
[Q26] 裁判所と司法権に関して、どのような規定を置いたのですか?
第7章 財政
[Q28] 私学助成に関わる規定(89条)を変えたのは、なぜですか?
[Q29] 決算の承認と、予算案への反映について規定を置いたのは、なぜですか?
第8章 地方自治
[Q30] 地方自治については、どのような規定を置いたのですか?
[Q32] 外国人の地方参政権について、どう考えているのですか?
[Q33] 地方財政について、どのような規定を置いたのですか?
第9章 緊急事態
[Q35] 緊急事態の宣言に関する制度の概要について、説明してください。
[Q36] 国等の指示に対する国民の遵守義務(99条3項)を定めたのは、なぜですか?基本的人権が制限されることもあるのですか?
[Q37] 衆議院解散の制限や国会議員の任期の特例の規定(99条4項)を置いたのは、なぜですか?
また、既に衆議院が解散されている場合に緊急事態の宣言が出されたときは、どう対応するのですか?
第10章 改正
第11章 最高法規
憲法改正草案 第1条 (天皇)

天皇は、日本国の元首であり、
日本国及び日本国民統合の象徴であって、
その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
天皇は、日本国の象徴であり
日本国民統合の象徴であつて、
この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
【Q4】
「日本国憲法改正草案」では、天皇を「元首」と明記していますが、これについてどのような議論があったのですか?
【自民党の答】
憲法改正草案では、1条で、天皇が元首であることを明記しました。元首とは、英語では Head of State であり、国の第一人者を意味します。明治憲法には、天皇が元首であるとの規定が存在していました。また、外交儀礼上でも、天皇は元首として扱われています。したがって、我が国において、天皇が元首であることは紛れもない事実ですが、それをあえて規定するかどうかという点で、議論がありました。
自民党内の議論では、元首として規定することの賛成論が大多数でした。反対論としては、世俗の地位である「元首」をあえて規定することにより、かえって天皇の地位を軽んずることになるといった意見がありました。反対論にも採るべきものがありましたが、多数の意見を採用して、天皇を元首と規定することとしました。
憲法改正草案 第2条 (皇位の継承)

皇位は、世襲のものであって、
国会の議決した皇室典範の定めるところにより、
これを継承する。
皇位は、世襲のものであつて、
国会の議決した皇室典範の定めるところにより、
これを継承する。
憲法改正草案 第3条 (国旗及び国歌)

国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
2
日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。
〔新設〕
〔新設〕
【Q5】
国旗・国歌及び元号について規定を置いていますが、これについてどのような議論があったのですか?
【自民党の答】
(国旗・国歌について)
我が国の国旗及び国歌については、既に「国旗及び国歌に関する法律」によって規定されていますが、国旗・国歌は一般に国家を表象的に示すいわば「シンボル」であり、また、国旗・国歌をめぐって教育現場で混乱が起きていることを踏まえ、3条に明文の規定を置くこととしました。
当初案は、国旗及び国歌を「日本国の表象」とし、具体的には法律の規定に委ねることとしていました。しかし、我々がいつも「日の丸」と呼んでいる「日章旗」と「君が代」は不変のものであり、具体的に固有名詞で規定しても良いとの意見が大勢を占めました。
また、3条2項に、国民は国旗及び国歌を尊重しなければならないとの規定を置きましたが、国旗及び国歌を国民が尊重すべきであることは当然のことであり、これによって国民に新たな義務が生ずるものとは考えていません。
(元号について)
さらに、4条に元号の規定を設けました。この規定については、自民党内でも特に異論がありませんでしたが、現在の「元号法」の規定をほぼそのまま採用したものであり、一世一元の制を明定したものです。
憲法改正草案 第4条 (元号)

元号は、法律の定めるところにより、
皇位の継承があったときに制定する。
〔新設〕
憲法改正草案 第5条 (天皇の権能)

天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、
国政に関する権能を有しない。
天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、
国政に関する権能を有しない。
憲法改正草案 第6条 (天皇の国事行為等)

天皇は、国民のために、
国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命し、
内閣の指名に基づいて
最高裁判所の長である裁判官を任命する。
天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
②
天皇は、内閣の指名に基いて、
最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
天皇は、国民のために、
次に掲げる国事に関する行為を行う。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の
施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の国の公務員の任免
を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 全権委任状並びに大使及び公使の信任状並びに批准書
及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行うこと。
天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、
左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の
施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに
全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書
及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。
天皇は、法律の定めるところにより、
前二項の行為を委任することができる。
4
天皇の国事に関する全ての行為には、
内閣の進言を必要とし、内閣がその責任を負う。
ただし、衆議院の解散については、内閣総理大臣の進言による。
5
第一項及び第二項に掲げるもののほか、天皇は、国又は
地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席
その他の公的な行為を行う。
天皇は、法律の定めるところにより、
その国事に関する行為を委任することができる。
第三条
天皇の国事に関するすべての行為には、
内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
〔新設〕
【Q6】
その他、天皇に関連して、どのような規定を置いたのですか?
【自民党の答】
6条に天皇の行為に関する規定を置きましたが、現行憲法を一部変更している所があります。
(国事行為には内閣の「進言」が必要)
現行憲法では、天皇の国事行為には内閣の「助言と承認」が必要とされていますが、天皇の行為に対して「承認」とは礼を失することから、「進言」という言葉に統一しました(6条4項)。従来の学説でも、「助言と承認」は一体的に行われるものであり、区別されるものではないという説が有力であり、「進言」に一本化したものです。
(天皇の公的行為を明記)
さらに、6条5項に、現行憲法には規定がなかった「天皇の公的行為」を明記しました。現に、国会の開会式で「おことば」を述べること、国や地方自治体が主催する式典に出席することなど、天皇の行為には公的な性格を持つものがあります。しかし、こうした公的な性格を持つ行為は、現行憲法上何ら位置付けがなされていません。そこで、こうした公的行為について、憲法上明確な規定を設けるべきであると考えました。一部の政党は、国事行為以外の天皇の行為は違憲であると主張し、天皇の御臨席を仰いで行われる国会の開会式にいまだに出席していません。天皇の公的行為を憲法上明確に規定することにより、こうした議論を結着させることになります。
(国事行為の基本に変更なし)
なお、6条2項では、天皇の国事行為について列記されていますが、規定を分かりやすく若干整理したものの、基本は変えていません。
憲法改正草案 第7条 (摂政)

皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、
摂政は、天皇の名で、その国事に関する行為を行う。
2
第五条及び前条第四項の規定は、摂政について準用する。
皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、
摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。
この場合には、前条第一項の規定を準用する。
憲法改正草案 第8条 (皇室への財産の譲渡等の制限)

皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、
若しくは賜与するには、法律で定める場合を除き、
国会の承認を経なければならない。
皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、
若しくは賜与することは、
国会の議決に基かなければならない。