【自民党憲法改正草案】見やすい対照表で現憲法との違いが分かる!

現行憲法と自民党の憲法改正草案を比較する。憲法改正草案とQ&Aは、自民党公式HP上のPDF 『憲法改正草案 Q&A』より転載。

憲法改正草案 第9条 (平和主義)

(平和主義)
自民党改憲案第九条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動としての戦争を放棄し
武力による威嚇及び武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては用いない


前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。

現行憲法第九条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、
武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。


前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、
これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

【Q7】
「日本国憲法改正草案」では、9条1項の戦争の放棄について、どのように考えているのですか?

【自民党の答】
 現行憲法9条1項については、1929年に発効したパリ不戦条約1条を翻案して規定されたものであり、党内議論の中で「もっと分かりやすい表現にすべきである。」という意見もありましたが、日本国憲法の三大原則の一つである平和主義を定めた規定であることから、基本的には変更しないこととしています。

 ただし、文章の整理として、「放棄する」は戦争のみに掛け、「国際紛争を解決する手段として」は戦争に至らない「武力による威嚇」及び「武力の行使」にのみに掛ける形としました。19世紀的な宣戦布告をして行われる「戦争」は国際法上既に一般的に「違法」とされていることを踏まえた上で、法文の意味をより明確にするという趣旨から行った整理です。

 このような文章の整理を行っても、9条1項の基本的な意味は、従来と変わりません。新たな9条1項で全面的に放棄するとしている「戦争」は、国際法上一般的に「違法」とされているところです。また、「戦争」以外の「武力の行使」や「武力による威嚇」が行われるのは、
 ①侵略目的の場合
 ②自衛権の行使の場合
 ③制裁の場合
の3 つの場合に類型化できますが、9条1項で禁止されているのは、飽くまでも「国際紛争を解決する手段として」の武力行使等に限られます。この意味を①の「侵略目的の場合」に限定する解釈は、パリ不戦条約以来確立しているところです。

 したがって、9条1項で禁止されるのは「戦争」及び侵略目的による武力行使(上記①)のみであり、自衛権の行使(上記②)や国際機関による制裁措置(上記③)は、禁止されていないものと考えます。


【Q8】
 戦力の不保持や交戦権の否認を定めた現9条2項を削って、新9条2項で自衛権を明記していますが、どのような議論があったのですか?
また、集団的自衛権については、どう考えていますか?

【自民党の答】
 今回、新たな9条2項として、「自衛権」の規定を追加していますが、これは、従来の政府解釈によっても認められている、主権国家の自然権(当然持っている権利)としての「自衛権」を明示的に規定したものです。この「自衛権」には、国連憲章が認めている個別的自衛権や集団的自衛権が含まれていることは、言うまでもありません。

 また、現在、政府は、集団的自衛権について「保持していても行使できない」という解釈をとっていますが、「行使できない」とすることの根拠は「9条1項・2項の全体」の解釈によるものとされています。このため、その重要な一方の規定である現行2項(「戦力の不保持」等を定めた規定)を削除した上で、新2項で、改めて「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」と規定し、自衛権の行使には、何らの制約もないように規定しました。もっとも、草案では、自衛権の行使について憲法上の制約はなくなりますが、政府が何でもできるわけではなく、法律の根拠が必要です。国家安全保障基本法のような法律を制定して、いかなる場合にどのような要件を満たすときに自衛権が行使できるのか、明確に規定することが必要です。この憲法と法律の役割分担に基づいて、具体的な立法措置がなされていくことになります。

憲法改正草案 第9条の2 (国防軍)

(国防軍)
自民党改憲案第九条の二
我が国の平和と独立並びに
国及び国民の安全を確保するため、
内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。



国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、
法律の定めるところにより、
国会の承認その他の統制に服する。



国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための
活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の
平和と安全を確保するために国際的に協調して
行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命
若しくは自由を守るための活動を行うことができる。



前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制
及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。



国防軍に属する軍人その他の公務員が
その職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を
犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、
国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が
裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。

〔新設〕




〔新設〕




〔新設〕






〔新設〕



〔新設〕





【Q9】
「自衛隊」を「国防軍」に変えたのは、なぜですか?

【自民党の答】
 日本国憲法改正草案では、9条の2として、「国防軍」の規定を置きました。その1項は、「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する」と規定しています。世界中を見ても、都市国家のようなものを除き、一定の規模以上の人口を有する国家で軍隊を保持していないのは、日本だけであり、独立国家が、その独立と平和を保ち、国民の安全を確保するため軍隊を保有することは、現代の世界では常識です

 この軍の名称について、当初の案では、自衛隊との継続性に配慮して「自衛軍」としていましたが、独立国家としてよりふさわしい名称にするべきなど、様々な意見が出され、最終的に多数の意見を勘案して、「国防軍」としました。

 国防軍に対する「文民統制」の原則(注)に関しては、①内閣総理大臣を最高指揮官とすること、②その具体的な権限行使は、国会が定める法律の規定によるべきことなどを条文に盛り込んでいるところです。

 また、9条の2第3項には、国防軍が行える活動として、次のとおり規定されています。

我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するための活動 (1項に規定されている国防軍保持の本来目的に係る活動です。)

国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動 (これについてはQ10 で詳述します。)

公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動 (治安維持や邦人救出、国民保護、災害派遣などの活動です。)


(注) 文民が、軍人に対して指揮統制権を持つという原則 (シビリアン・コントロールの原則)

【Q10】
国防軍は、国際平和活動に参加できるのですか?

【自民党の答】
 参加できます。

 9条の2第3項において、国防軍は、我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するための任務を遂行する活動のほか、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」を行えることと規定し、国防軍の国際平和活動への参加を可能にしました。その際、国防軍は、軍隊である以上、法律の規定に基づいて、武力を行使することは可能であると考えています。また、集団安全保障における制裁行動についても、同様に可能であると考えています。

【Q11】
国防軍に審判所を置くのは、なぜですか?

【自民党の答】
 9条の2第5項に、軍事審判所の規定を置き、軍人等が職務の遂行上犯罪を犯したり、軍の秘密を漏洩したときの処罰について、通常の裁判所ではなく、国防軍に置かれる軍事審判所で裁かれるものとしました。審判所とは、いわゆる軍法会議のことです。

 軍事上の行為に関する裁判は、軍事機密を保護する必要があり、また、迅速な実施が望まれることに鑑みて、このような審判所の設置を規定しました。具体的なことは法律で定めることになりますが、裁判官や検察、弁護側も、主に軍人の中から選ばれることが想定されます。なお、審判所の審判に対しては、裁判所に上訴することができます。諸外国の軍法会議の例を見ても、原則裁判所へ上訴することができることとされています。この軍事審判を一審制とするのか、二審制とするのかは、立法政策によります。

憲法改正草案 第9条の3 (領土等の保全等)

(領土等の保全等)
自民党改憲案第九条の三
国は、主権と独立を守るため、
国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、
その資源を確保しなければならない。

〔新設〕



【Q12】
「領土等の保全等」について規定を置いたのは、なぜですか?
国民はどう協力すればいいのですか?

【自民党の答】
 領土は、主権国家の存立の基礎であり、それゆえ国家が領土を守るのは当然のことです。あわせて、単に領土等を守るだけでなく、資源の確保についても、規定しました。

 党内議論の中では、「国民の『国を守る義務』について規定すべきではないか。」という意見が多く出されました。しかし、仮にそうした規定を置いたときに「国を守る義務」の具体的な内容として、徴兵制について問われることになるので、憲法上規定を置くことは困難であると考えました。

 そこで、前文において「国を自ら守る」と抽象的に規定するとともに、9条の3として、国が「国民と協力して」領土等を守ることを規定したところです。

 領土等を守ることは、単に地理的な国土を保全することだけでなく、我が国の主権と独立を守ること、さらには国民一人一人の生命と財産を守ることにもつながるものなのです。

 もちろん、この規定は、軍事的な行動を規定しているのではありません。国が、国境離島において、避難港や灯台などの公共施設を整備することも領土・領海等の保全に関わるものですし、海上で資源探査を行うことも、考えられます。

 加えて、「国民との協力」に関連して言えば、国境離島において、生産活動を行う民間の行動も、我が国の安全保障に大きく寄与することになります

「次の朝鮮戦争は北朝鮮による日本攻撃で始まる。その理由は反撃という軍事行動がないから」(国際安全保障研究機関)

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北朝鮮が今後、実際にどのような軍事行動を取るのか。アメリカではいま官民挙げてこの予測を大展開している。北朝鮮がその警告通りにミサイルを撃ち込むのか。それとも攻撃の威嚇は単なる脅しなのか。あるいは実際の軍事行動を伴うのか。アメリカの政府や議会、そして軍の研究機関から民間の研究所、マスコミまで、それぞれに分析や予測を進め、公表するようになった。

 アメリカの専門家たちの予測の中で特に関心を引かれたのは「次の朝鮮戦争は北朝鮮による日本攻撃で始まる」という見通しだった。その理由は、日本が北朝鮮からの攻撃に対してあまりに無力であり、反撃などという軍事行動がまず考えられないからなのだという。この点の指摘は、まさに戦後の「平和・日本」が、自国への軍事攻撃はもちろんのこと軍事的な反撃など夢にも考えずに国づくりを進めてきたという特徴を突いていた。

【スカボロー礁(2012年)】 中国は、フィリピン領のスカボロー礁の領有権を主張し、監視船を派遣するなど軍事的圧力をかけて緊張状態が続いている

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スカボロー礁(黄岩島)
 1998年、中国漁船4隻が領海侵犯し、フィリピン海軍に拿捕されて51名の漁民が拘禁される。 1999年5月23日、中国漁船とフィリピン海軍が衝突。中国外交部スポークスマンはフィリピンへ抗議。 2000年、中国漁船が領海侵犯し、フィリピン海軍が中国漁船船長を射殺。

 2012年4月8日、中国漁船8隻がスカボロー礁近くに停泊し、フィリピン海軍が漁船を拿捕。中国の監視船が現場に急行し、フィリピン海軍の進行を阻止して睨み合う状況となる。 2012年4月17日、フィリピン外相は国際海洋裁判所に判断を仰ぐ提案をしたが、中国は拒否。 2012年9月3日、中国国家海洋局は、スカボロー礁・西沙諸島・尖閣諸島の周辺海域を「海域動態監視観測管理システム」の範囲内に組み込み、人工衛星や航空機で遠隔監視している。

【ミスチーフ礁(1995年)】 中国漁船は台風からの緊急避難と称してフィリピン領のミスチーフ礁に建造物を作り、その後軍隊を駐留させて占領を続けている

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 1995年、中国は、フィリピン領南沙群島東方のミスチーフ礁に、中国漁民のための避難施設を建築した。フィリピン政府は「主権の侵害である」と抗議した。しかしその後、中国は航空機を伴なった中国艦艇や海洋調査船を派遣したため、フィリピンとトラブルが頻発したが、中国海軍が優勢であった。

 中国はこのミスチーフ礁の施設は「中国漁民の活動を支援するための施設である」と主張して強引に建設作業を行なっている。1999年には、鉄筋コンクリートの建物を四棟、大型の船舶が停泊可能な岸壁及びヘリポート等を建設して実効支配を確立した。

【スプラトリー諸島海戦(1988年)】 中国は、ベトナム領の南沙諸島の赤瓜礁を攻撃、戦闘に勝利して支配下においた。

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スプラトリー諸島海戦(1988年)
 1980年代、中国は海洋調査船による海洋調査を開始。1987年、中国海軍艦艇がこの海域での行動を開始。1988年、南沙群島西方の永暑礁に漁民を上陸させて、中国領土であることを示す主権碑を設置。ベトナムはこれに抗議して軍事衝突になった。

 1988年3月14日、ベトナムが統治していた南沙諸島の赤瓜礁を中国が攻撃。ベトナム海軍は三隻の艦艇を撃沈され、75名が戦死。中国政府は「自衛の行動であった」という声明を出した。

 戦闘に勝利した中国はこの地を統治下とし、赤瓜礁のほか、永暑礁、華陽礁、東門礁、南薫礁、渚碧礁などを手に入れた。その後中国はコンクリート等で建造物を建築し、「中国 赤瓜」、「祖国万歳」の文字を掲げている。

 2010年3月、中国政府は南シナ海を、自国の主権および領土保全と関連した「核心的利害地域」と見なしているとの立場を示した。

【西沙諸島の戦い(1974年)】 中国は漁船で紛争を引き起こし、ベトナム領の西沙諸島を武力で奪取した。

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西沙諸島の戦い(1974年)
 1974年1月15日、ベトナム海軍が西沙諸島を哨戒に訪れた。すると島に中国国旗が立てられており、沖に中国の漁船が碇泊しているのを発見した。ベトナム海軍は中国漁船に退去を命じ、陸上の中国国旗を狙って威嚇射撃を行った。

 1月17日、中国とベトナム双方は増援部隊を現地に派遣。

 1月19日、本格的な交戦状態となった。交戦でベトナム艦隊は次々と損傷し沈没。

 1月20日、中国軍が上陸し、航空機の援護の下で占領した。地上戦で南ベトナム軍は100人が死傷した。

 中国軍は、島に4階建ての建物やヘリポートを整備し、戦車部隊やミサイル艇を駐留させるなど要塞化を進めた。漁船を突出させて紛争を引き起こすという中国の常套手段は成功し、ベトナムは西沙諸島から完全に追い払われた。その後中国は2600m級の滑走路を有する飛行場を建設し、南シナ海支配の戦略拠点としている。