【自民党憲法改正草案】見やすい対照表で現憲法との違いが分かる!

現行憲法と自民党の憲法改正草案を比較する。憲法改正草案とQ&Aは、自民党公式HP上のPDF 『憲法改正草案 Q&A』より転載。

憲法改正草案 第21条 (表現の自由)

(表現の自由)
憲法改正草案第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、
保障する。


前項の規定にかかわらず、
公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、
並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。



検閲は、してはならない。
通信の秘密は、侵してはならない。
現行憲法第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、
これを保障する。


〔新設〕




検閲は、これをしてはならない。
通信の秘密は、これを侵してはならない。

【Q19】
その他、国民の権利義務に関して、どのような規定を置いたのですか?

【自民党の答】
(2)公益及び公の秩序を害することを目的とした活動等の規制(21条2項)

 オウム真理教に対して破壊活動防止法が適用できなかったことの反省などを踏まえ、公益や公の秩序を害する活動に対しては、表現の自由や結社の自由を認めないこととしました。内心の自由はどこまでも自由ですが、それを社会的に表現する段階になれば、一定の制限を受けるのは当然です。なお、「公益や公の秩序を害することを目的とした」活動と規定しており、単に「公益や公の秩序に反する」活動を規制したものではありません。



【参考】 オウム真理教事件
 オウム真理教は、外国での軍人訓練や軍事ヘリの調達、自動小銃の密造や化学兵器の生産を行い武装化し、教団と敵対する人物の殺害や無差別テロを実行した。一連のオウム真理教事件で29人が死亡負傷者は6000人を超えた。

 特に注目される事件として、坂本弁護士一家殺害事件松本サリン事件地下鉄サリン事件が挙げられる。被害者の数や社会に与えた影響などから、日本犯罪史において最悪の事件とされている。

 1995年オウム真理教に対して解散を視野にした破防法(団体活動規制)の適用が検討され、公安調査庁が処分請求を行ったが、公安審査委員会は破防法の要件を満たさないとして、適用は見送られた。

憲法改正草案 第24条 (家族、婚姻等に関する基本原則)

(家族、婚姻等に関する基本原則)
憲法改正草案第二十四条
家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。
家族は、互いに助け合わなければならない。



婚姻は、両性の合意に基づいて成立し、
夫婦が同等の権利を有することを基本として、
相互の協力により、維持されなければならない。


家族、扶養、後見、婚姻及び離婚、財産権、相続
並びに親族に関するその他の事項に関しては、
法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、
制定されなければならない。
現行憲法
〔新設〕


第二十四条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、
夫婦が同等の権利を有することを基本として、
相互の協力により、維持されなければならない。


配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚
並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、
法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、
制定されなければならない。

【Q16】
家族に関する規定は、どのように変えたのですか?

【自民党の答】
 家族は、社会の極めて重要な存在ですが、昨今、家族の絆が薄くなってきていると言われています。こうしたことに鑑みて、24条1項に家族の規定を新設し、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。」と規定しました。なお、前段については、世界人権宣言16条3項も参考にしました。

 党内議論では、「親子の扶養義務についても明文の規定を置くべきである。」との意見もありましたが、それは基本的に法律事項であることや、「家族は、互いに助け合わなければならない」という規定を置いたことから、採用しませんでした。

(参考)世界人権宣言16条3項
 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位であり、社会及び国による保護を受ける権利を有する。

憲法改正草案 第25条の3 (在外国民の保護)

(在外国民の保護)
自民党改憲案第二十五条の三
国は、国外において緊急事態が生じたときは、
在外国民の保護に努めなければならない。


〔新設〕


【Q19】
その他、国民の権利義務に関して、どのような規定を置いたのですか?

【自民党の答】
(3)在外国民の保護(25条の3)

グローバル化が進んだ現在、海外にいる日本人の安全を国が担保する責務を憲法に書き込むべきであるとの観点から、規定を置きました。



【参考】 イラン・イラク戦争
1985年にイラン・イラク戦争が勃発した際、イラクは「イラン上空の航空機を無差別に撃墜する」と発表した。各国はイラン在住の自国民を軍用機で救出したが、日本は自衛隊の海外派遣不可の原則のために、自衛隊機による救助が出来なかった。そのためイランの首都テヘランにいた日本人250名が、帰国できずに孤立した。

憲法改正草案 第26条 (教育に関する権利及び義務等)

(教育に関する権利及び義務等)
憲法改正草案第二十六条
全て国民は、法律の定めるところにより、
その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。


全て国民は、法律の定めるところにより、
その保護する子に普通教育を受けさせる義務を負う。
義務教育は、無償とする。


国は、教育が国の未来を切り拓ひらく上で
欠くことのできないものであることに鑑み、
教育環境の整備に努めなければならない。
現行憲法第二十六条
すべて国民は、法律の定めるところにより、
その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。


すべて国民は、法律の定めるところにより、
その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。
義務教育は、これを無償とする。


〔新設〕



【Q17】
教育環境の整備について規定を置いたのは、なぜですか?

【自民党の答】
 憲法改正草案では、26条3項に国の教育環境の整備義務に関する規定を新設し、「国は、教育が国の未来を切り拓く上で欠くことのできないものであることに鑑み、教育環境の整備に努めなければならない」と規定しました。

 この規定は、国民が充実した教育を受けられることを権利と考え、そのことを国の義務として規定したものです。

 具体的には、教育関係の施設整備や私学助成などについて、国が積極的な施策を講ずることを考えています。

憲法改正草案 第28条 (勤労者の団結権等)

(勤労者の団結権等)
憲法改正草案第二十八条
勤労者の団結する権利及び団体交渉
その他の団体行動をする権利は、保障する。


公務員については、全体の奉仕者であることに鑑み、
法律の定めるところにより、前項に規定する権利の
全部又は一部を制限することができる。
この場合においては、公務員の勤労条件を改善するため、
必要な措置が講じられなければならない。
現行憲法第二十八条
勤労者の団結する権利及び団体交渉
その他の団体行動をする権利は、これを保障する。


〔新設〕





【Q18】
公務員の労働基本権の制約について規定を置いたのは、なぜですか?

【自民党の答】
 憲法改正草案では、28条2項に公務員に関する労働基本権の制限の規定を新設し、「公務員については、全体の奉仕者であることに鑑み、法律の定めるところにより、前項に規定する権利の全部又は一部を制限することができる。この場合においては、公務員の勤労条件を改善するため、必要な措置が講じられなければならない。」と規定しました。

 現行憲法下でも、人事院勧告などの代償措置を条件に、公務員の労働基本権は制限されていることから、そのことについて明文の規定を置いたものです。

憲法改正草案 第29条 (財産権)

(財産権)
憲法改正草案第二十九条
財産権は、保障する。


財産権の内容は、公益及び公の秩序
適合するように、法律で定める。
この場合において、知的財産権については、
国民の知的創造力の向上に資するように
配慮しなければならない。



私有財産は、正当な補償の下に、
公共のために用いることができる。
現行憲法第二十九条
財産権は、これを侵してはならない。


財産権の内容は、公共の福祉に
適合するやうに、法律でこれを定める。





私有財産は、正当な補償の下に、
これを公共のために用ひることができる。

【Q19】
その他、国民の権利義務に関して、どのような規定を置いたのですか?

【自民党の答】
(4)知的財産権(29条2項)

29条2項後段に、「知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない」と規定しました。特許権等の保護が過剰になり、かえって経済活動の過度の妨げにならないよう配慮することとしたものです。


憲法改正草案 第42条 (両議院)

(両議院)
憲法改正草案第四十二条
国会は、衆議院及び参議院の
両議院で構成する。
現行憲法第四十二条
国会は、衆議院及び参議院の
両議院でこれを構成する。

【Q20】
一院制を採用すべきとの議論は、なかったのですか?

【自民党の答】
 一院制を採用すべきか否かは、今回の草案の作成過程で最も大きな議論のあったテーマであり、党内論議では、「一院制を採用すべき」との意見が多く出されたところです

 しかしながら、今回の草案は、サンフランシスコ平和条約発効60 周年を機に、自主憲法に値する憲法草案を策定することを目的に、飽くまでも、平成17年の「新憲法草案」を土台として、その見直しを行うものです。一院制の導入の具体化には、詳細な制度設計を踏まえた慎重な議論が必要ですが、今回の作業の中でそれを行うのは困難であり、党内での合意形成の手続がなお必要と考えました。

 このため、今回の草案では、平成17年の「新憲法草案」を引き継ぎ、二院制を維持していますが、今後、二院制の在り方を検討する中で、一院制についても検討することとしました

憲法改正草案 第44条 (議員及び選挙人の資格)

(議員及び選挙人の資格)
憲法改正草案第四十四条
両議院の議員及びその選挙人の資格は、
法律で定める。
この場合においては、人種、信条、性別、障害の有無
社会的身分、門地、教育、財産又は収入
によって差別してはならない。
現行憲法第四十四条
両議院の議員及びその選挙人の資格は、
法律でこれを定める。
但し、人種、信条、性別、
社会的身分、門地、教育、財産又は収入
によつて差別してはならない。

【Q23】
その他、国会に関して、どのような規定を置いたのですか?

【自民党の答】 (44条 議員及び選挙人の資格)
 44条は、両議院の議員及びその選挙人の資格に関する規定です。今回の草案では、14条の法の下の平等の規定に合わせて、差別の禁止項目に、「障害の有無」を加えました。

憲法改正草案 第47条 (選挙に関する事項)

(選挙に関する事項)
憲法改正草案第四十七条
選挙区、投票の方法その他両議院の議員の
選挙に関する事項は、法律で定める。
この場合においては、各選挙区は、
人口を基本とし、行政区画、地勢等を
総合的に勘案して定めなければならない。
現行憲法第四十七条
選挙区、投票の方法その他両議院の議員の
選挙に関する事項は、法律でこれを定める。




【Q22】
国会議員の選挙制度に関する規定を変えたのは、なぜですか?

【自民党の答】
 47条(選挙に関する事項)に後段を設け、「この場合においては、各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない」と、規定しました。これは最近、一票の格差について違憲状態にあるとの最高裁判所の判決が続いていることに鑑み、選挙区は、単に人口のみによって決められるものではないことを、明示したものです。ただし、この規定も飽くまで「人口を基本と」することとし、一票の格差の是正をする必要がないとしたものではありません。選挙区を置けば必ず格差は生ずるので、それには一定の許容範囲があることを念のため規定したに過ぎません

 なお、この規定は、衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条1項の規定を参考にして加えたものであり、現行法制を踏まえたものです。
   (参考)
衆議院議員選挙区画定審議会設置法 第3条
前条の規定による改定案の作成は、各選挙区の人口の均衡を図り、各選挙区の人口(官報で公示された最近の国勢調査又はこれに準ずる全国的な人口調査の結果による人口をいう。以下同じ。)のうち、その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が2以上とならないようにすることを基本とし、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。

憲法改正草案 第52条 (通常国会)

(通常国会)
憲法改正草案第五十二条
通常国会は、毎年一回召集される。


通常国会の会期は、法律で定める。
現行憲法第五十二条
国会の常会は、毎年一回これを召集する。


〔新設〕

【Q23】
その他、国会に関して、どのような規定を置いたのですか?

【自民党の答】 (52条 通常国会)
 52条は、通常国会についての規定です。今回の草案では、同条に2 項を設け、通常会の会期を「法律で定める」と規定しました。会期の延長については、特に規定を置答きませんでしたが、これも法律委任の中に含まれると解しています。