憲法改正草案 第98条 (緊急事態の宣言)
Category :
第9章 緊急事態 [98~99]
Tag :
新設
Q&A
主な改正点

(緊急事態の宣言)
〔新設〕
〔新設〕
〔新設〕
〔新設〕
【Q34】
緊急事態に関する規定を置いたのは、なぜですか?
【自民党の答】
8章の次に2条から成る新たな章を設け、「緊急事態」について規定しました。具体的には、有事や大規模災害などが発生したときに、緊急事態の宣言を行い、内閣総理大臣等に一時的に緊急事態に対処するための権限を付与することができることなどを規定しました。
国民の生命、身体、財産の保護は、平常時のみならず、緊急時においても国家の最も重要な役割です。今回の草案では、東日本大震災における政府の対応の反省も踏まえて、緊急事態に対処するための仕組みを、憲法上明確に規定しました。このような規定は、外国の憲法でも、ほとんどの国で盛り込まれているところです。
【Q35】
緊急事態の宣言に関する制度の概要について、説明してください。
【自民党の答】
緊急事態の宣言に関する制度として、草案では、98条で緊急事態の宣言の根拠規定や手続を定め、99条でその効果を定めています。
(緊急事態宣言の要件とその基本的性質)
まず、98条1項で、内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃、内乱等の社会秩序の混乱、大規模な自然災害等が発生したときは、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができることとしました。
ここに掲げられている事態は例示であり、どのような事態が生じたときにどのような要件で緊急事態の宣言を発することができるかは、具体的には法律で規定されます。
緊急事態の宣言の基本的性質として、重要なのは、宣言を発したら内閣総理大臣が何でもできるようになるわけではなく、その効果は次の99条に規定されていることに限られるということです。よく「戒厳令ではないか」などと言う人がいますが、決してそのようなことではありません。99条に規定している効果を持たせたいときに、緊急事態の宣言を行うのです。
(緊急事態の宣言の手続)
緊急事態の宣言の手続について、最も議論されたのは、「宣言を発するのに閣議にかける暇はないのではないか。」ということでした。しかし、内閣総理大臣の専権とするには余りに強大な権限であること、また、次の99条に規定されている宣言の効果は1分1秒を争うほどの緊急性を要するものではないことから、閣議にかけることとしました。
例えば「我が国に対してミサイルが発射されたときに、それを迎撃するのに、閣議決定をしていては、間に合わないではないか。」などと質問されますが、そうしたことは9条の2 などの別の法制で考えるべきことであり、緊急事態の宣言とは、直接関係はありません。
2項で、国会による民主的統制の確保の観点から、緊急事態の宣言には、事前又は事後に国会の承認が必要であることを規定しました。当然事前の承認が原則ですが、緊急事態に鑑み、事後になることもあり得ると考えられます。
3項で、緊急事態の宣言の終了について、規定しました。この規定は、当初の案では、憲法に規定せずに法律事項とする考えでしたが、党内議論の中で、「宣言は内閣総理大臣に対して強大な権限を与えるものであることから、授権の期間をきちんと憲法上規定すべきだ。」という意見があり、その期間を100日とする規定を設けたところです。その他、国会が宣言を解除すべきと議決したときにも、宣言は解除されるものと規定しました。
4項で、緊急事態の宣言の承認の議決及びその継続の承認の議決については、衆議院の議決が優越することを規定しました。宣言の解除の議決については、衆議院の優越はありません。また、参議院の議決期間は、緊急性に鑑み、5日間としました。
自民党改憲案第九十八条
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、
内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な
自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に
必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、
閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
2
緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、
事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
3
内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決が
あったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決
したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要
がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議
にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。
また、百日を超えて緊急事態の宣言を
継続しようとするときは、百日を超えるごとに、
事前に国会の承認を得なければならない。
4
第二項及び前項後段の国会の承認については、
第六十条第二項の規定を準用する。
この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、
「五日以内」と読み替えるものとする。
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、
内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な
自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に
必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、
閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
2
緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、
事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
3
内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決が
あったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決
したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要
がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議
にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。
また、百日を超えて緊急事態の宣言を
継続しようとするときは、百日を超えるごとに、
事前に国会の承認を得なければならない。
4
第二項及び前項後段の国会の承認については、
第六十条第二項の規定を準用する。
この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、
「五日以内」と読み替えるものとする。
〔新設〕
〔新設〕
〔新設〕
〔新設〕
【Q34】
緊急事態に関する規定を置いたのは、なぜですか?
【自民党の答】
8章の次に2条から成る新たな章を設け、「緊急事態」について規定しました。具体的には、有事や大規模災害などが発生したときに、緊急事態の宣言を行い、内閣総理大臣等に一時的に緊急事態に対処するための権限を付与することができることなどを規定しました。
国民の生命、身体、財産の保護は、平常時のみならず、緊急時においても国家の最も重要な役割です。今回の草案では、東日本大震災における政府の対応の反省も踏まえて、緊急事態に対処するための仕組みを、憲法上明確に規定しました。このような規定は、外国の憲法でも、ほとんどの国で盛り込まれているところです。
【Q35】
緊急事態の宣言に関する制度の概要について、説明してください。
【自民党の答】
緊急事態の宣言に関する制度として、草案では、98条で緊急事態の宣言の根拠規定や手続を定め、99条でその効果を定めています。
(緊急事態宣言の要件とその基本的性質)
まず、98条1項で、内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃、内乱等の社会秩序の混乱、大規模な自然災害等が発生したときは、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができることとしました。
ここに掲げられている事態は例示であり、どのような事態が生じたときにどのような要件で緊急事態の宣言を発することができるかは、具体的には法律で規定されます。
緊急事態の宣言の基本的性質として、重要なのは、宣言を発したら内閣総理大臣が何でもできるようになるわけではなく、その効果は次の99条に規定されていることに限られるということです。よく「戒厳令ではないか」などと言う人がいますが、決してそのようなことではありません。99条に規定している効果を持たせたいときに、緊急事態の宣言を行うのです。
(緊急事態の宣言の手続)
緊急事態の宣言の手続について、最も議論されたのは、「宣言を発するのに閣議にかける暇はないのではないか。」ということでした。しかし、内閣総理大臣の専権とするには余りに強大な権限であること、また、次の99条に規定されている宣言の効果は1分1秒を争うほどの緊急性を要するものではないことから、閣議にかけることとしました。
例えば「我が国に対してミサイルが発射されたときに、それを迎撃するのに、閣議決定をしていては、間に合わないではないか。」などと質問されますが、そうしたことは9条の2 などの別の法制で考えるべきことであり、緊急事態の宣言とは、直接関係はありません。
2項で、国会による民主的統制の確保の観点から、緊急事態の宣言には、事前又は事後に国会の承認が必要であることを規定しました。当然事前の承認が原則ですが、緊急事態に鑑み、事後になることもあり得ると考えられます。
3項で、緊急事態の宣言の終了について、規定しました。この規定は、当初の案では、憲法に規定せずに法律事項とする考えでしたが、党内議論の中で、「宣言は内閣総理大臣に対して強大な権限を与えるものであることから、授権の期間をきちんと憲法上規定すべきだ。」という意見があり、その期間を100日とする規定を設けたところです。その他、国会が宣言を解除すべきと議決したときにも、宣言は解除されるものと規定しました。
4項で、緊急事態の宣言の承認の議決及びその継続の承認の議決については、衆議院の議決が優越することを規定しました。宣言の解除の議決については、衆議院の優越はありません。また、参議院の議決期間は、緊急性に鑑み、5日間としました。